4 am

 寝れねえまま朝の4時を迎える。不眠症とやらだろうかとも考えたが、たぶん疲れてないから寝れないってだけのことなんだろう。さもなければニートをやってて何のストレスもない俺が不眠症になる理由が見つからない。

 諸兄諸姉らにおいては朝の4時に起きることはあるだろうか。いや、私は寝れなかったから起きているだけなのだが、4時はいいものだ。4月と5月に世界が明らかに分かたれているように、朝の4時と5時も明らかに世界は分かたれている。4時にしか流れない空気というものがあるのだ。

 太陽が地面を温める前、東の空が紫色に輝き、世界で一番冷たい風が吹く。大地が穢れを知らなかった頃の、創世記が日毎に繰り返される、4時。

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 余計な本を読むのを辞めると宣言して幾何か、読まねばならぬと義務付けていた本をついに読み終えた俺はパタリと本を読むのを辞めた。読まなくなると読まなくなるで今まで俺は何に時間を使っていたのだろうかという気になってくる。読まねば知れぬままのことが大量にあるのは間違いないのだが、知る必要もないことばかりだった。

 近頃は本を読まなくなっただけではなくニュースも見なくなったしネットもあまり見ないため世間で何が起きているのかよく分かっていない。なんだかそういうことに急に興味がなくなってしまった。いや、もっと前から本当は興味が失せていたのかもしれない。それでも何かと勉強したりニュースにかじりついていたのはこの世界のことをもっと知ろうとか、「善く(良く)生きよう」とか考えていたからに他ならないわけだけど、失業期間、あれこれと本を読んで考え事をするうちにそんな気持ちも失せてしまった。

 もともと、この社会の価値観にはずっと違和感があった。具体的に言うと資本主義の競争社会やそれらが作り出す価値観に違和感があった(私は広告代理店や広告というものが大嫌いだ。)。でも私はその中で勝ち組だった。優秀なのであって決して落伍者ではなかった。だから何となく付き合ってきたけど、そんな含み笑いの優等生をあと60年とか続けるのかなと考えると、急に嫌気がさした。

 嗚呼、どうか仕事が始まって忙しくなったらこんな余計なことを考えなくて済みますように。それか今後一生を社会と切り離された環境で生きていけますように。